大会でもこれが中心的議題の1つにすえられました。
議長のジャンカルロ副会長は、
「現在の経済危機の下で、不合理な流通機構からくる重荷は決定的といえるほどになっている。
もし今、全体が3つないし4つの店舗を1つに統合して、店舗を減少させることができれば、流通機構の近代化によって、中間マージンは何と4兆リラないし5兆リラも節約できる。
これは新しい投資と雇用にふり向けることができるし、インフレの鎮静化にもなる。
またその結果として、物価上昇に合わせて給料を引き上げる制度(スカラ・モービレ)に金をつかわなくてもすみ、労働のコストを節約することができる」(「パエーゼ・セーラ」紙、1983年12月1日号)
このようにイタリアの消費生協は、自らの組織を近代化して経営能力を高めていくこと、イタリア経済における流通機構の民主的改革の展望とを結合し、経済民主化の大義名分をかかげつつ協同組合を強化しているように思えます。
実利的にも消費生協は、商品の10%ディスカウントをうたっているのです。
大会報告においても、「協同組合は、流通部門の改革を全国的な経済政策とかかわる基本的な問題であると考えている」とのべていました。
小さな単位生協の合併は、こうした市場流通機構の全面的な改革の一環と位置づけられてすすめられてきました。
1979年から82年にいたる3年間をとってみても、協同組合数と店舗数を減少させつつ、つまり合併・統合を行ないつつ、事業高を飛躍的に増大させてきたことが明瞭に示されています。
「協同組合は、消費者の運動として、具体的に流通部門の改革にとりくんできた。
実際現在の機構は、何百もの小単協を合併し、商業網の絶えざる改革を行なってきた長い労苦にみちた過程の結果である」
・・・と、消費生活協同組合全国連合会(ANCC)の文書はのべています。
イタリアには150万軒の小売り商店がありますが、そのほとんどが零細な家族経営であり、その近代化が大きな社会問題となっています。
そのシェアは10%から15%といわれています。
確かにイタリアの町、とくに地方都市を歩いてみると、古い中世を思わせるような小さな商店が軒をつらねてならんでおり、旧態依然とした商業経営をやっているように見えます。
それだけに、流通網の近代化というのはいろいろな困難をかかえているのでしょう。
トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州についで大きな数値を示しているのが、ロンバルディア、リグリア、ピエモンテ、ブリウリ・ヴェネチア・ジウリアとつづいています。
ジェノバをかかえるリグリア州で市場の5%、ミラノをかかえるロンバルディア州では2%をしめているといいます。
他方、大・中の消費生協がまったくつくられていない州が南部を中心に、10州もあります。
これを見ても、地域による差が大きいということが分かります。
このちがいは歴史的につくられてきたものであり、イタリア社会の特性をあらわしているのです。
大会報告は南部における協同組合の建設と発展にとくに一章を設け、優先的にここに力を入れることを方針としてうち出していました。
前回の大会以後、南部でもかなりの協同組合がつくられ、発展の手がかりができていますが、なお解決すべき問題を多くかかえています。
流通機構の民主的改革レガの消費生協がもっとも力を入れている問題の一つは、流通機構の民主的改革です。
レガが発行している『消費者協同組合運動』という消費生協の解説書によると、イタリアの流通組織はあまりにもコストがかかりすぎ、しかもサービスの水準が低いといいます。
レガは、流通における能率・生産性をあげるためにも、経済組織における効率化と価格形成機構を合理化するためにも、市場流通機構の全面的改革を行なっていかなければならないという立場に立っているのです。
19の大・中の単協が全事業高の76.6%にあたる額を供給し、その組合員数も72.2%をしめていますが、これら大・中の単協が急成長の大きな原動力となっています。
大会報告においても、中・小の協同組合はゆるやかな成長にとどまったのですが、大単協は急成長をなしとげたとのべられ、イタリア経済は重苦しい危機に陥っているにもかかわらず、消費生協は発展をとげており、流通部門における改革の一翼をになうにいたっていると報告されました。
第7回大会を報道した左翼系の各紙も、70年代後半以降の消費生協の急成長を高く評価していました。
たとえば、「マニフェスト」紙は、
"コープの奇跡、事業高2700億、会員は100万以上"
という見出しをつけ、「ウニタ」は、"インフレは13%、コープの食品の値段は10%"という見出しでこれを報道していました。
大会会場で市場問題の専門家に聞いたところによると、食品の全国市場におけるレガ加盟の消費生協のシェアは1.5%であるといいます。
しかし地域によって大きなちがいがあるのです。
1982年の事業高をとってみても、州によってずいぶんちがうことが分かります。
トスカーナ州とエミリア・ロマーニャ州がまず群をぬいて突出しています。
なかでも消費生協がもっとも広がっているのがフィレンツェをかかえるトスカーナ州で、ここではレガ加盟のコープの食品が食品市場の12%をしめているといいます。
フィレンツェの町を歩くとコープの店にすぐ行きあたるはずです。
ついでエミリア・ロマーニャ州が食品市場の8%をしめていました。
最初に外国代表の紹介が行なわれます。
外国代表はユーロ・コープ(ECに加入している国の協同組合の共同仕入組織)、ブルガリア、チェコスロバキア、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、ポルトガル、スペイン、スイス、ハンガリーの各国。
ついでに、イタリアの協同組合の調査のため、筆者が今回の大会に参加している旨の紹介がなされました。
大会参加者は473名、女性はいるにはいますがそんなに多くはなかったです。
年齢も比較的高いように思えました。
バルベリー二会長が基調報告をはじめます。
ノートを取るものはあまりいません。
もっとも基調報告の要旨はすでに全員に配布され、報告全文も大会代議員には配布されています。
タバコをふかしながら聞いている代議員もいました。
"消費者の利益のために協同組合の革新と発展を"というのが大会スローガン。
レガに加盟している消費生協は、近年すさまじい前進をなしとげました。
大会で配布された資料によると、1982年の12月31日で、組合数が581、店舗が1464、事業高は1兆157万1100万リラとなっていました。
大会報告では、83年の終りには事業高が2兆6000億リラに達するであろうし、組合員数はすでに120万人をこえたと発表されました。
1978年の事業高が7330億リラ、組合員数が79万3000人でしたから、事業高は3.54倍、会員数は1.5倍になったことになります。
この間のインフレを考慮に入れたとしても、ものすごい急成長でしょう。
1983年11月30日、ローマ市内の有名なホテル、パルコ・デイ・プリンチーピの大会議室で、レガ加盟の消費生協の第7回大会が開かれました。
開会は9時からの予定で、少し早めにと思って8時半ころ会場に着いたのですが、会場はまばら。
9時になっても始まりそうにありません。
日本でも同じでしょうが、4年に1度、全国から代議員が集まって開く大会というのは参加する人たちにとっては旧交をあたため、情報を交換し合う場ともなっています。
なつかしそうに握手をしたり、三三五五ここかしこに集まって話に興じたりしている光景が見られます。
会場はそうした話し声でとても騒がしいのです。
こちらは調査のためということで、特別に参加を認めてもらい、資料一式をもらって、英語と仏語の同時通訳のマイクがついている席に案内されました。
10時を過ぎてもまだ始まりません。
大会もイタリア時間かなと思っていると、10時10分になってようやく開会の案内が行なわれ、議長団と大会運営委員会が選出されました。
最初に議長になったのは、ANCC(消費生活協同組合全国連合会)のジャンカルロ副会長。
基調報告を行なうのは、日本に来たことのあるバルベリー二会長(共産党員だと誰かが説明してくれました)。
レガのどこに行っても感じるのですが、共産党員と社会党員とのチームワークがとてもうまくいっているように見えます。
取材先でも、共産党員と社会党員がおおむね1人ずつ出てきます。
この回の大会でも、社会党のジャンカルロ氏が議長をやると、共産党のバルベリー二会長が基調報告をやるというふうにうまくバランスがとられていると思いました。